キラリと光る町
目を閉じて、耳を澄ます。風を感じる。深呼吸してこころをゆるめる、山陰の、ふるさとの森。

森林セラピー® in 島根県飯南町・鳥取県智頭町

人口約70万人の島根県と60万人の鳥取県。都道府県中、下から二番目と一番目のお隣同士。その中にあって、飯南町は約5,000人、智頭町は約7,500人の町民が暮らす、いずれも内陸の、森林率が90%を超える町です。古くから出雲大社の大しめ縄を納めている飯南町。都会のストレスから解放される「疎開の町」を標榜している智頭町。森林セラピーの、全国有数の基地として環境整備を進めてきた両町が、「山陰癒しの森事業共同体」として手を結びました。それぞれに特徴を持つ森を基点にした森林セラピーを、互いに活かし合う、町をあげた取り組みです。
キラリと光るまちの特集は、飯南町と智頭町の、まち、そして森林セラピーの魅力を、山碕英樹飯南町長と、寺谷誠一郎智頭町長、共同プロジェクトのリーダーであり、自身も森林セラピストの長谷川浩司さんにお聞きしました。

※ガイドの案内にしたがってゆっくりと森を歩き、深呼吸や瞑想を行いながら、より効果的に森林の癒し効果を取り入れる、一歩進んだ森林浴のメソッド。その効果は、科学的にも実証されている。癒し効果が認められて認証された「森林セラピー基地」は全国に57カ所(2014年9月現在)。
「森林セラピー」、「森林セラピスト」は特定非営利活動法人森林セラピーソサエティの登録商標です。

山陰癒しの森 森林セラピー公式サイト

最初の取材から約2年。森林セラピーの新しいアプローチを進める智頭町を再び訪れました。
「2016特別編 トップランナー智頭町の取り組み」はこちら »

飯南町と森林セラピー®

キャッチフレーズは、「小さな田舎(まち)からの「生命領域」宣言“いのち彩る里 飯南町”」
島根県唯一の森林セラピー基地。2006年に、山陰では初めてとなる森林浴効果の生理実験を行い、リラックス効果が認められた。拠点となる「飯南町ふるさとの森」は、森林セラピーロードにウッドチップが敷きつめられて歩きやすく、日差しの入る明るい森はアウトドア初心者や家族連れにもぴったり。女性に人気の、森のホテルもりのすが隣接されており、カラダにやさしい食事を出してくれて快適。泊まりがけで、無理なくゆっくりと森を満喫できる貴重な森林セラピー基地。
飯南町の森林セラピーについて詳しくはこちら

森林セラピーロード

森林セラピーロードは、山野草コース、きのこ園コースなどが用意されている。

森林セラピーロード

「飯南町ふるさとの森」は、散策しやすく、軽いハイキングにも楽しい。

飯南町で育った子どもが、誇りを持って暮らし続けることのできる町にしたいと願いながら町づくりを進めています。
(山碕英樹 飯南町長)

私も高校時代を除いてはずっとこの町にいますけれど、本当にいい町だと思っているんです。町外から赴任して来た小学校の先生たちは、異口同音に、この町の子がいい子だと言うんですよ。町民気質とも言えるのでしょうが、おっとりとしていて純粋みたいです。そんな町民が暮らす飯南町です。いらした方々にもここで癒されてほしい。森林セラピーはもともと、町民の健康づくりを第一の目的に据えて始めました。事業として成り立たせるにはこれからですが、職員がとても一生懸命に取り組んでくれています。現在は若い女性の職員に任せていますが、よくやってくれていて、智頭町との連携も楽しみです。森林セラピーへの取り組みについては、飯南町が先行して始めましたけれど、智頭町は町長さんがいいから(笑)、後発でもぐんぐん伸びてきました。互いに切磋琢磨しながら、山陰の癒しの森を盛り上げてゆきたいです。

山碕英樹飯南町長

やさしくおだやかな印象が、飯南町らしさを感じさせる山碕町長。

山碕町長と森林セラピー担当者

町をあげて取り組む森林セラピーは、担当を若い女性に託した。

智頭町と森林セラピー®

キャッチフレーズは「みどりの風が吹く“疎開”のまち智頭」
観光カリスマとして知られる寺谷町長のもと、都会のストレスから“疎開”できる町をめざし、田舎ならではの資源を活かした町おこしが注目される。鳥取県唯一の森林セラピー基地。2010年の認定以来、独自のプログラムを開発して医療領域へのアプローチを始め、学術界とも連携しながらメンタルヘルスにおける貢献をめざすなど、全国に先駆けた取り組みを意欲的に行う。大阪から陸路2時間という地の利を活かして、企業の研修等の受け入れを開始。トレッキングや自然観察会とは一線を画す森林セラピーを確立すべく、町をあげて積極的に推進している。
智頭町の森林セラピーについて詳しくはこちら

智頭町の森

智頭町の森は緑が深い。樹種はエリアによって異なる。

智頭町の森

しばらく森にいると、木々の息吹が感じられるように。

「お待たせしました。いよいよ田舎の出番です」
(寺谷誠一郎 智頭町長)

私が言い続けてきたこの言葉が、近年ますます現実味を帯びてきたと思いませんか。都会のストレス社会が加速して、心にも身体にも元気がない人が目立ちます。原発事故を契機にして、立派なように見えていても、ニセモノが多い世の中であったことも、知れ渡ったのではないでしょうか。これからは、フィールドを持っているほうが強い。田舎には、森がある。空気がある。水がある。どれもホンモノでしょう。田舎の出番なんです。智頭町の森林セラピーは、職員の努力により着実に歩みを進めてきました。私は、誰にでもできそうなことはつまらないと考える性分ですし、どんなことも自分が責任を持つから存分にやるよう言ったんです。「そのかわりトップランナーになれ」と(笑)。常に、世の中にどんな風が吹いているかを見定める感覚を磨いているつもりですが、日本には今、山の中に風が吹いていると思っています。都会の人に人間性を取り戻してもらう。智頭町は、そのお手伝いができる、ホンモノの田舎であり続けたいです。

寺谷誠一郎智頭町長

観光カリスマ、寺谷町長は町づくりについて饒舌に語る。

寺谷町長ご夫妻

智頭町の誇る山菜料理の店「みたき園」を切り盛りするのは町長夫人。絵になるご夫妻。

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